各駅物語 Vol.3 廃線目前、風前の灯火~JR留萌本線・幌糠駅~

留萌本線は深川駅と留萌駅を結び全長50.1kmと、「本線」を冠する路線の中では日本で2番目に短い。(2021年4月現在)
何度となく廃線の協議が続けられてきた経緯がある。
実際に2016年の年末に留萌~増毛は廃止された。
2021年春のダイヤ改正でもさらに運行本数が削減され、明日にでも廃止されてもおかしくない状況が続いている、「日本で最も廃線が近い路線」の一つである。
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執筆:あざらしくん 慶應義塾大学在学中・理系・水族館愛好家 全国の水族館を巡りながら、まだ見ぬ日本を求めて日々迷走中 |
廃止される前に・・・

留萌本線が廃止されそうだという情報はだいぶ前から知っていた。
いざ廃止されてしまえば「留萌」という街を訪れることは一生ないだろう。
そう思い、列車が走っているうちに訪れることにした。
前日は稚内にいたため、沿岸バスで豊富駅~留萌駅を乗り通すことに。

雄大な平原と日本海を楽しみながらバスに揺られる。そういえばここは以前「国鉄羽幌線」が走っていた区間だ。ところどころに廃線遺構が残されている。
日没ののちすぐに留萌市中心部に到着した。
北の大地で軽率に列車に乗り込む幸せ

北海道内の鉄道を利用できるフリーパスで周遊していたため、いけるところまで乗車することにした。
もっとも翌日留萌本線は完乗できる予定だったが、乗りすぎて困ることはない。
4936D 深川行 最終列車
20:20 数人の乗客を乗せて出発した。
この列車は峠下駅で下り列車と行き違いをする。
したがって峠下駅の一駅前で下車すれば、少しばかりの散策時間ののちに留萌へと戻ることができる。
まったくあてもなく飛び乗ったが、車内の駅一覧を眺めると「幌糠駅」という駅で降りればよいということがわかった。
風前の灯を心に刻む

何があるかも知らないまま下車した。
あたり一面まっくらやみ。夏虫がしきりに鳴いている。
近くの通りまで出てみて振り返ると、古い車両を改築しただけの待合室が煌々とホームを照らしていた。
この暖かな光もあと何年残るだろうか。
消灯の日が刻々と近づいている。
4935D 20:52 留萌行普通列車

ほどなくして、峠下駅で行き違った留萌行最終列車が遠くからやってきた。
まっくらでまったくわからなかったが、ヘッドライトに照らされたレールは思いのほか複雑なカーブを描いていた。
当たり前のように時間通りにやってくる1両の列車。
20:52
当たり前に感謝しつつ、留萌へと戻った。
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