各駅物語 Vol.4 幸運?不運?超有名絶景駅での珍事~JR予讃線・下灘駅~

下灘駅。
鉄道に詳しくない人でも一度は耳にしたことのある有名な駅だろう。
といっても東京駅や大阪駅など規模が大きく有名なわけではなく、ホームからの景色が美しいと有名になった駅だ。
そう。
ホームからの景色が美しいから有名なのだ。
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執筆:あざらしくん 慶應義塾大学在学中・理系・水族館愛好家 全国の水族館を巡りながら、まだ見ぬ日本を求めて日々迷走中 |
鉄道ファンでなくても一度は下灘へ行ってみたい。

特にインスタグラムをやっている人なら多くの人が考えることだろう。
私は今となっては乗り鉄のようになっているが、もともと鉄道に詳しかったわけでもなく、いわば新参者だ。
それでも下灘にはいってみたかったし、私のインスタグラムのタイムラインには定期的に友人の“下灘へいってみました!”投稿が流れてきていた。
そしてようやく自分にもそのチャンスが訪れたのである。
私は自動車の免許を持っていないため、鉄道でアクセスするしかない。
だからといって、めったに列車は来ないので、下手に下灘駅で下車してしまうと2~3時間取り残されてしまうことも考えられる。
そこで調べてみると、1日に数回、下灘駅で下車できそうな機会があることがわかった。
文明の利器、ダイヤグラム。

下灘駅へ訪れるにあたって公式の時刻表からダイヤグラムを作成した。(写真は2020年7月時点のダイヤグラム)
一部の例外はあるものの、隣駅の伊予上灘駅ですれ違い交換をするパターンが多いことが見てわかる。
したがって、伊予市駅で予讃線方面へ入るよりも、伊予大洲駅から下灘を目指した方が下車後にすぐ逆方向の列車がやってくることがわかる。
そこでわたしは4918Dで伊予大洲から下灘へ向かい、14分後の4915Dで伊予大洲へ戻る行程を選択した。
念願の下灘駅。そこには・・・?

列車は山間を抜け、海に出た。下灘駅は目の前が海なことで有名だが、実は前後数駅からも十分に海は見える。
車窓も瀬戸内海を望む絶景が続く。
まもなく念願の下灘駅。
10:30
扉が開いた。
ん・・・?

思っていたような光景は広がっていなかった。
お祭り?
下灘駅は十分に知名度があり、車で訪れる人も多い。一瞬、観光地化されてしまったのかと思うようなにぎやかさだ。
JR職員も行き交い、大層な花も飾られている。何かの式典が開かれるようだ。
その正体は・・・?
観光列車“伊予灘ものがたり”6周年記念

伊予灘ものがたりはJR四国を走る観光列車の一つであり、地方創成を兼ねた観光列車の先駆け的な存在でもある。
2021年現在では、8周年を迎え新車の造成も決まった、大人気の列車だ。
なんでも全国の観光列車でもトップの乗車率を誇り、各地の鉄道会社が注目しているんだとか。
具体的には1日4便走り、主に松山~八幡浜間を下灘駅のある予讃線経由で結んでいる。
大洲編・双海編・八幡浜編・道後編の4章からなり、景色を眺めながらご当地の食材を使った料理をいただける。下灘駅では見学のための観光停車も行われる。

筆者が訪れた時は、2020年7月26日。コロナ禍において夏の運行の開始期でもあった伊予灘ものがたりの6周年記念の日だった。
下灘駅の狭いホームは式典仕様に飾られ、歓迎ムード一色だった。
いつもと違う下灘駅で時を過ごす。

筆者の想像していた下灘駅は、観光客こそいるもののホームと線路と海というシンプルな原風景だった。
しかし、式典の用意がされ、約1時間後にやってくる伊予灘ものがたり編成と開式を待つ下灘駅はどこか都会の香りを感じた。
少し残念な気持ちもあったが、逆に式典の日に下灘駅へ行くことは今後もう二度とないだろう。貴重な経験だった。
式典の用意をしていた地元の方に話を聞くことができた。下灘駅は昔はもっと何もない駅だったが、海との間に道路が作られ、駅裏には小さな移動式露店も開かれている。
予讃線の存続には欠かせない下灘駅。
その歴史とその先に触れる訪問になった。
一駅前
一駅先
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